弁護士法人英明法律事務所の事務所報『Eimei Law News 』より、当事務所の所属弁護士によるコラムです。

雇用期間の定めのある労働者の募集・採用の留意点

  中小企業法務研究会 税務訴訟部会 弁護士 室田 朋宏 (2015.08)

雇用期間の定めのある労働者の募集・採用の際には、通常の労働者の募集・採用の際に注意すべきことの他に、次の事項に留意する必要があります。

(1) 契約期間の明示

労働者の募集を行う者はその募集に当たって労働契約の期間に関する事項を明示しなければなりません(職業安定法5条の3)。
   また、使用者は、労働契約の締結の際に労働者に対して労働契約の期間に関する事項を明示しなければなりません(労働基準法15条1項)。
   なお、使用者は、有期労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することの無いように配慮する必要がありますのでこの点にも留意が必要です(労働契約法17条2項)。

(2) 更新の有無及び判断基準の明示

使用者は、有期労働契約の締結に際し、労働者に対して、更新の有無を明示しなければならず、更新する場合がある旨を明示した場合は、更新の判断基準を明示しなければなりません(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準1条)。
   更新の有無の内容としては、@自動更新、A更新する場合がある、B更新しないなどの記載が考えられます。また、更新の判断基準の内容としては、@業務期間満了時の業務量、A労働者の勤務成績・態度、B労働者の業務を遂行する能力、C会社の経営環境、D従事している業務の進捗状況などが考えられます。

(3) その他の労働条件の明示

労働者の募集を行う者は、その募集に当たって労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。また、使用者は、労働契約の締結の際に労働者に対して、労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条1項)。 雇用期間の定めのある契約社員であるからと言って労働条件については明示しなくてもよいというわけではないので注意が必要です。